世間ではゴールデンウィークとか言って、みんな遠いところに旅行に行ったりしてるらしいけど、オイラんちではいつもの土・日とあんまり変わらず、朝もぜ〜んぜん起きる気配がなかった。あんまりハラへったんで、なんとか起こそうとするんだけど、ぴろ助はただのたうちまわるだけ。睡眠に対する執念には頭が下がるね、ホント。クマゴローはやっと起きてくれたんだけど、ソファーんとこでまた寝てる。しかもハラ出てるよハラ！頭にきたからぴろ助を噛んでやったら、やっと起きてミルクを作ってくれた。これから毎日この２人を起こしてやらないといけないんだろうか？これでもけっこー気をつかってんだよ。

せっかく早く起きたからってんで、今日はめずらしくお出かけするんだって。車にいろいろ荷物を積め込んで出発。オイラはもう車にゃあ慣れたもんね。後部座席の上、ちょうどスピーカーのあるところがオイラのお気に入りの場所なんだ。すると突然、”シューッ”と目の前を長い棒が飛んでった。あっ、また戻ってきた。な、なんだこりゃあ！びっくりして、前を見るとクマゴローがこっちを見て”にやり”と笑った。なんでも、ワイパーとかいうものらしい。ったく、びっくりさせやがって・・・。

そんなこんなで車は赤いお家の前で止まった。ここが目的地なのかな？２人が車を降りたんで、オイラも降りようとしたら、ドアを閉められてしまった。「ちょっとの間お留守番頼むね。」そう言うと２人は赤いお家の中に入っていってしまった。どのくらい待ったかなぁ、２人が満足そうな顔をして帰ってた。ん？なんかいい匂いがするぞ。あっ！口のまわりに何かついてる。しかも、ちょっと酒くさい。くっそー２人だけ何か食べてきやがったな。で、オイラのめしはないんかい？！ぐれてやる。

オイラがふてくされていてもおかまいなしに車は走り出して、今度は木がいっぱいあるところで止まった。するとぴろ助がなにやら長いひもをとりだして、オイラに巻き付けてきた。な、なにをしやがんでい！こちとら江戸っ子でい！やめろよー！悲痛な叫びもむなしく、オイラはひもに繋がれてしまったのさ。ぴろ助に抱かれたまま、しばらく歩いて行くと、なんか知らない人達がいっぱいいるところへ来てしまった。そこには見たことのない花がた〜くさん咲いていて、水の飛び出す池や滝なんかがあって、みんな楽しそうに遊んでたんだ。オイラもひさしぶりに土の上で自由にさせてもらったのさ。するとオイラのまわりに人が集まってきて”かわいい、かわいい”って撫でてくれるんだ。よせやい、照れるぢゃねーか。すっかり気をよくしてしまって、みんなの後をちょこまかとついて歩いたら、ぴろ助が「だめ、だめ」って連れ戻しに来るんだ。やきもちやいてるのかなぁ。もてる男はつらいねぇ。

ここは”みちのく森の湖畔公園”ってとこなんだって。いいとこなんだけど、しばらく遊んでたらオイラのなわばりのことがちょっと心配になってきた。”もー帰ろうよぉ”って言ったら、「ちゅう、おしっこしたくなったの？砂は車に置いてきちゃったもんね」などとトンチンカンなことを言いながら、でも、次からはトイレも持ってくるよーに。２人は帰り支度をはじめたのでした。

知らない土地で知らない人達と交流したことで、さすがのオイラも疲れてしまって帰りはず〜っと寝てました。今度行く時は、ファンのためにもブラッシングくらいしてほしいなぁ。

クマゴローが会社から帰って来ると、なにやらあやしい事をはじめた。ダンボールをい〜っぱい持ってきて何か作ってるみたいだけど、近づくと邪魔にされるんだ。ぴろ助も箱みたいなのとか持ってきて手伝ってるけど、いったい何を作ってるんだろう？

しばらくすると、やっと完成したみたいでオイラを呼ぶ声がしたから行ってみたら、トンネルみたいのとか、小山みたいのとか、橋みたいのとかが出来ていた。クマゴローによると「こいつは、ちゅう太の”あすれちっく”または”じゃんぐるじむ”だ！」と鼻た〜かだっか〜にのたまったってことで、どーやらオイラの遊び場らしい。しょーがないから遊んでやったさ。ごますりも辛いんだぜ。

この後、オイラの”じゃんぐるじむ”は毎日のように増築これにはさすがに、ぴろ助も呆れてたねされて、いつの間にか部屋の半分以上を占めるようになったんだ。クマゴローは加減ってものを知らないらしい。

今日までは植木鉢の受け皿がオイラのトイレになってたんだけど、これがちっちゃいもんだから、砂をかけると周りに飛び散るんだよねぇ。その度に掃除しなくちゃいけないぴろ助は、トイレが小さいから砂が飛び散るってことにやっと気付いたボケボケマシーンだから気付くの遅いのさみたいで、おなじみのダイシンから新しいトイレを買ってきてくれた。

たしかに広くはなったんだけど、なーんか違うんだよねぇ。下はデコボコしてるし、深さも足りないような気がするし・・・。と思ってたら、こいつは車用のトレイ（靴入れ）なんだって。「まだちっちゃいから、猫用のトイレはいらないよ。高いしさ。」「じゃこいつで代用するか。なんと！２９８円だぜ」とゆー２人の企みでオイラのニュー・トイレに決定したんだとさ。ったく、けちは大成しないぜ。

いっしょに爪研ぎも買ってきたんだけど、代用トイレを買ってきたお返しだ、そんなの使ってやらないよ。いつものようにソファーで研いでやる。

今日は朝からなんか騒がしい。いつもはすっかり明るくなるまでみんな寝てるのに、まだ薄暗い時間に起きてガタガタやってるよ。オイラの朝ごはんも今日は早めに用意してくれた。いつもこのぐらい早く出してくれよー。毎朝毎朝おなかがへって起こそうとするんだけど、ぜ〜ったいに起きてくれないもんね。
あれ？クマゴローがひとりでどっかに出かけて行っちゃった。なんでも会社ってところへ行ったんだって。後で知ったんだけど、昨日も一昨日も会社に行かなきゃいけなかったんだけど、具合が悪いとか言って休んじゃったみたい。世間ではそれをズル休みってゆーんだって。

クマゴローがいないんで、ぴろ助に遊んでもらおうかなーっと。ありゃ？ぴろ助が倒れてるよ。「ぐうぅぅぅ〜ぐうぅぅぅ〜・・・」って寝てるよーです。んじゃ、オイラも一緒に寝よーっと。ぐっなーい！って、まだ朝だっちゅうの！

とゆーことで、今日は１日寝て曜日でした。おいおい、これから毎日ずーっとかよ！

がさがさ音がして、うるさくてお昼寝から目を覚ますと、２人して大きな袋からいろんな物を出してる、いったい何だろう？と思って近づいてみたら、まふまふしたものが目の前に・・・な、なんだこれは！ち、ちょっとさわってみよう。ん？けっこーおもしろいぢゃないか。うわっ！飛んだっ！わあぁっ！走ったぁ！がっ、我慢できないっ！ズダダダダダダ・・・バタバタバタ・・・こりゃあおもしれーや！！

なんだ？変なボールがある。ん？あっちにはうさぎのしっぽみたいなのが・・・☆○※△★◇＃×○※△％◇＃×★おもちゃがいっぱいだよぉぉぉ！！でも実は気に入らないヤツもあるのさ。

おもいっきり走り回ったら、はらへったぁ〜〜。おっ！今日のミルクはいつもの卵入り牛乳とはちょっと違うぞ。今日ダイシンってとこで買ってきた小猫のミルクってやつだそーだ。さすがにオイラ達専用のミルクだけあって、こりゃあ美味いね。海原雄三風に言うなら「まったりと舌にトロけるようで、それでいて少しもしつこくない」って感じだね。最初から買って用意しておいてくれよー！たのむよー！

今日はおもいっきり遊んだから、眠くて眠くてしょーがないや。と言っても昼間もずーっと寝てたんだけどね。オイラのベッドはぴろ助が作ってくれた特注品。まぁベッドったってダンボールとタオルで作ったやつだけど。寝心地は悪くないんだけど、ひとりで寝るのは寂しいなぁ。なーんて、ちょっとカワイコぶってみました。

昨日の夜から、クマゴローとぴろ助がオイラの名前を何にするか考えてたらしいけど、ろくな名前を考えやしない。クマゴローはオイラを見て「こいつはピューマの子供だ。たぶん密輸されて、ヤバくなって捨てられたんだろう。」な〜んて訳のわからないこと言って、「ピューマといえば星ぴゅうま、そもそもここからおかしいってーの！星飛雄馬は巨人だからイヤなんで花形からとって”みつる”にしよう。」だと。でも、ぴろ助に反対されたんで、「じゃあ黒いから”オズマ”だ。」「やっぱ”豊作”がいいかな？」などと好き勝手に巨人の星の登場人物をならべていって、最後に「よっしゃ伴宙太の”宙太”にしよう。」ってなことぬかして、こともあろうに、ぴろ助まで「”宙太”ってなんかかわいいね。」だってさ。で、結局オイラの名前はいつの間にか”宙太”になってたってわけ。

それから今日は病院ってとこに連れてかれたんだ。電車に乗る時に入れられた狭いバッグに押し込められて、今度は自動車今年買ったばっかりで、クマゴローは結構大事にしてるらしい。最近は洗ってないから汚いけどね・・・ってのに乗せられて行ったんだけど、そこには見たことない動物がたくさんいて恐かったよ。ケバいおばちゃんもいて、こっちも恐かった・・・で、白い服着たおっさんにいろいろいじくられて、オイラはご機嫌ななめなのさ。今度会ったら噛んでやる。まぁ検査だってことで大目に見てやることにしたよ。結果は体重が５００ｇで、病気もノミも異常なしだって。そりゃそーさ！健康には猫一倍気をつかってるからね。

ところで、この日オイラの名前が”宙太”から”ちゅう太”に突然変わった。漢字からひらがまになっただけだけど。それはなぜかとゆーと、ぴろ助が病院の受付でオイラの名前を書く時に、漢字をど忘れしてひらがなで書いたもんだから、診察券もカルテも”ちゅう太”になっちゃったんだ。ぴろ助は「ひらがなの方が、かわいくていいの！」と開き直って、「ちゅう太の”ちゅう”はひらがなにする！」って勝手に決めちゃったのさ。実は病院に来る前、家でオイラの名前を書く時も「”ちゅう”ってどう書くんだっけ？」とクマゴローに聞いて、「宇宙の宙だ。」と教えられ、「あっ！そーだった。」と言って書いたら、”宇太”になってたまったくボケボケ・マシーンなんだからって余談もあるんだ。もうちょっと日本語を勉強した方がいいよ、ぴろ助。

オイラが生まれたのは、宮城県の角田市というところ。でも、どーゆーわけか一人ぼっちになってしまったのさ。もーハラがへって耐えられなくなっちゃって、通りすがりの郵便配達のおっちゃんにしがみついて「なんか食い物くれぇ〜〜」って頼んだんだけど、困った顔をするばかり。そんな時、どっかのおねえちゃん”おばちゃん”って言ったら殴られるから・・・がやって来て家に連れてってくれたんだ。そこでおしりを拭いてもらい、う○こまみれで、そーとー汚かったらしい。ごはんも食べさせてもらったよ。いやぁ、やっと一息ついたって感じだね。

ここがオイラの家になるのかなぁって思ったんだけど、なんでもここはおねえちゃんしつこいよーだが、”おばちゃん”なんて絶対言えないの実家だとかで、今住んでるのはここから遠く離れたとこらしく、迎えが来るのを待ってるんだって。でも、なかなか来なかったんだ。なんでも二日酔いとかゆー病気で寝過ごしたらしい。

そこでオイラは狭〜いバッグに入れられて、電車っていうガタゴトうるさいものに乗せられて仙台にある家に連れて来られた。古くて狭いところだけど、まぁこの際贅沢は言ってられないからね。

しばらくすると、でっかい怪獣みたいのが入って来たんでオイラはこたつっていう暖かい場所に隠されたんだ。二人が話してるのを聞いてたら、「しばらく居候置いてもいい？」「いいんでないの」とかなんとか言ってたようで、オイラがこたつから出されると怪獣はびっくりしてるようだった。

最初は戸惑ったけど、新しい家に慣れてくるとやっぱおなかがすいてくるよね。な〜んか白い水みたいなのをあたためてくれたんだけど、変な匂いがして飲めたもんじゃない。後で聞いたら牛のおっぱいだってゆーぢゃないの。まったく、オイラは牛じゃないっちゅうの！そこで今度はそれに鶏の卵をまぜてくれたんだ。これはけっこーイケてたね。オイラは卵にゃあ、ちょいとウルサイんだよ。

そんなこんなで最初の１日は過ぎて行きました。これがオイラと家族との出会いだったのさ。ちなみにオイラを拾ってくれたのが”ぴろ助”で、怪獣みたいにデカイのが”クマゴロー”ってゆーんだ。

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