IWC  Cal.83

ポルトギーゼの復刻版を思わせるシンプルフェイスが魅力のIWCの手巻きモデルです。腕時計は第二次世界大戦で飛躍的な発展を遂げ、40年代は”時計豊穣の時代”とも呼ばれています。この時計はそんな古き良き時代である40年代後半に製造されたヴィンテージ・ウォッチ。憧れのオールドインターです。

35mmのケース径は当時としては大型の部類に入ります。美しい光沢を放つ18金無垢のケースは非常に重厚な作りをしていながらも、どこか温かみを感じさせます。当時から現在に至るまで、ドレスウォッチはえてして薄型が好まれる傾向にありますが、IWCはドッシリとした厚みがあります。これはムーブメントの地盤を分厚くして耐久性を重要視した結果であり、いかにも質実剛健のIWCらしいところです。
大戦終了直後に作られ、半世紀以上に渡って時を刻み続けてきた時計ですが、ケースには目立った傷もなく、大切に時代を引き継がれてきたことがうかがえます。
30年代〜40年代の時計にしばしば見ることができるデコラティブなデザインのファンシーラグが特徴的で、古典的な欧州の気品を感じさせてくれます。
IWCと言えば技術力の高さには定評があり、無骨なほどに機能重視の作りとオーバースペックでプロフェッショナルツールとしての顔が目立ちますが、その昔は高級感漂うエレガントなモデルも数多く生み出し、雲上ブランドに肩を並べる存在だったようです。
実際に着けてみると、しっとりと腕に馴染み、ヨーロピアン系のダークスーツあたりによく映えると思います。やはりオールド・インターは落着きのある上質な時計だと改めて感じますね。


マットホワイトのダイヤルには、視認性重視のアプライトのアラビア・インデックスにドットのミニッツマーカーの組み合わせ。無駄な装飾を一切排除した”時を知る”という時計本来の目的を追求したシンプル極まりないデザインは秀逸です。ゴールドのアルファハンドとやや大きめのスモールセコンドがよいアクセントになっていて、全体的なバランスは見事の一言。現行品では味わえない優雅な趣があります。
ラウンドケースのダイヤルデザインは、パテック・フィリップのカラトラバにより確立されたと言われています。この時計のダイヤルもカラトラバスタイルを踏襲しているように思います。時代を経ても色あせない普遍的な美しさがありますね。
この文字盤はリフィニッシュされたものですが、そのために格安で入手できました。仕上げも綺麗な方だと思っていますので、あまり気にはなりません。元々そんなにオリジナルにもこだわってませんし、欧米ではアンティークの修復は当たり前のことのようです。日本ではあまりにもオリジナルにこだわりすぎる感がありますね。
搭載されるムーブメントはIWC手巻きの最高傑作とも呼ばれるCal.83!
名機の誉れの高いCal.83は憧れの機械のひとつでしたが、人気も高く、コンディションの良い個体は私にとっては高価なので、なかなか手の届くものではありませんでした。そんなこともあって、ようやく手に入れたこの時計には格別の思い入れがあります。
Cal.83は1930年に製造開始され、47年に製造中止されるまで18年間にわたってIWCの主力商品として作られたもので、マーク]などの軍用時計にも搭載され、世界一の軍用時計として評価されています。
コート・ド・ジュネーブが施された6分割のブリッジは大変美しく、角穴車が香箱受け地板の下側に隠れているのも特筆される点です。これはかつてのパテックのカラトラバにもみられる形状で、IWCが世界最高峰の牙城に迫ろうとしていた姿勢がうかがえます。
チラネジテンプと青焼きされたNIVAROXブレゲヒゲの組み合わせも評価の高いところです。また、この時計に搭載されている機械は、2番車に受石が入るハイグレード仕様で、金無垢モデルなどには一部このような仕様が用いられたようです。
Cal.83の機能や各部品の仕上げは丁寧で美しく、受石もシャトン止する等、非常に手のこんだ作りで、ヒゲ持ちを2本のスクリューで固定し、精度調整時の部品の金属疲労回避を図るなどの工夫もされています。このような高品質のムーブメントを搭載していることで、かつてのIWCはパティック・バセロン・オーデマピゲの世界3大時計に匹敵すると評価する時計技術者は少なくありません。


IWCでは、最近ペラトン・システムを復活させた自社製ムーブメントを搭載したり、ジョーンズ・キャリバーの復刻版を発表したりと、かつてのマニュファクチュールだった時代への回帰をうかがわせていますが、どれも40mmオーバーの大型ケースなのがちょっと残念です。自社製機械を搭載した35mm前後の時計を作ってくれることを期待しているのは、きっと私だけではないでしょう。個人的にはポルトギーゼに自社製手巻きムーブを搭載したミドルサイズのラインを製作してくれると嬉しいんですが。。。

【 IWC 】

●手巻き( 18石) ●Cal.83搭載 ●1940年台製造 ●5振動 ●18KYGケース ●クロコダイルストラップ

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