Jacques Etoile  Lissabon Medium Maximus

lisbon-1.jpg (33213 バイト)

ジャッケ・エトアールが2003年の新作として発表した60本限定のスモールセコンドモデル「リスボン・ミディアム・マキシマム」です。
バーゼルフェア期間中に同社の工房を訪れた、某時計店のHPに掲載された写真を見た瞬間に一目惚れしてしまい、日本への入荷を心待ちにしていました。
シンプルな3針モデルですが、気品に満ちた実に素晴らしい表情をしていて、まさに”一生モノ”と言える時計です。できれば、自分の子供にも受け継いでいきたいですね。
ヴィーナスやバルジューのオールドムーヴメントを搭載したリミテッドモデルで注目された同社ですが、最近はエボーシュの汎用ムーヴをモディファイしたモデルを数多く発表し、価格的にも高級化路線を歩んでいる感があります。
たしかに初期のモデルに比べるとクォリティはアップしているようで、この時計も所有しているブルックランドより、ケースの質感はかなり高いものとなっています。流れるような曲線を描くラグやステップドベゼルが美しいですね。
直径37mmとジャッケ・エトアールにしては小ぶりなケースは、高品質なステンレスである316Lを用いたSUG社製を使用しています。かつてはスイスのケースメーカーを使用していましたが、2001年頃からドイツのSUG社製ケースを採用するようになったようです。これにより質感はもちろん、防水性能の向上も図られました。
ケースサイドにはシリアルナンバーが刻印されています。
lisbon-3.jpg (27196 バイト)
lisbon-4.jpg (30577 バイト)

lisbon-7.jpg (25676 バイト) この時計の文字盤はコールド・エナメル技法によるものです。エナメル文字盤とは、まず、ガラスを1200℃で溶かした後、焼き入れを施します。次にエナメル技師ができた粒子で金属をコーティングします。そして800〜900℃の特殊な窯で焼成されます。 この工程からもわかるように、通常の文字盤に比べて製造コストがはるかにかさみます。そのため現在ではほとんど製造されなくなってしまいました。
この時計に用いられているコールド・エナメルとは、通常よりも低い温度(約400℃)で焼付けた後、特殊なパウダーで表面を研磨したものです。通常のエナメル加工よりも更に手間がかかりますが、衝撃に強くなるといったメリットがあるようです。
エナメルの光沢が醸し出す優雅な美しさは、なかなか良いものです。
文字盤上のローマンインデックスは4時位置が「W」ではなくて「IIII」です。この表記はブレゲ等にも見られますね。12時位置のインデックスは赤くペイントされています。これはアールデコの影響によるもので、アンティークのエナメルダイヤルによく見られるデザインです。現行ではランゲ&ゾーネやクロノスイスのモデルに同じデザインが取り入れられているものがあります。そういえば、ジャッケ・エトアールを含めたこの3社ともにドイツのメーカーですね。ドイツ人が好むデザインなんでしょうか???
この純白のエナメルにアールデコ調のインデックスを施したクラシカルな文字盤にはブルースチールのリーフハンドが良く映えます。古典技術の素晴らしさを訴えかけるダイヤルデザインにクラウス・ヤコブの主張が表れているようです。

リスボン・ミディアムシリーズは以前から主力モデルのひとつとして販売されていますが、この「マキシマム」と従来モデルの違いは搭載されるムーヴメントにあります。
リスボン・ミディアムシリーズに搭載されている機械は「ユニタス6376」。17石の手巻きで、振動数は6振動です。
「ユニタス」と言えば、懐中時計用ムーヴメントとして開発された「ユニタス9497/9498」が有名です。この機械はパネライ等に搭載され、いわゆる”デカ厚”ブームによって多くの時計メーカーに採用されています。比較的安価に入手できる手巻き式として人気がありますね。
ユニタス社は元々オーガスト・レイモンド社のムーヴメント製造部門として創立され、その後独立してエボーシュS.A傘下となりましたが、クォーツショックによるスイス時計産業の衰退により1983年に操業を停止しました。操業停止後、「Cal.9497/9498」はETA社がその製造を引き継ぎましたが、その他のムーヴメントは製造中止となりました。現在出回っている「Cal.9497/9498」搭載の時計にはETA社製造の機械が入っています。
つまり、現在では「ユニタス6376」の製造は行われておらず、従来のリスボン・ミディアムシリーズには、ユニタス社が操業停止となった際のパーツ在庫である’80年代製造の機械が搭載されていると思われますが、マキシマムには’60年代初頭のデッドストックが使用されています。オールドストック・ムーヴメントをリファインして、リミテッド・モデルとして再生するのはジャッケ・エトアールの真骨頂であり最大の魅力のひとつです。
lisbon-5.jpg (20596 バイト)
lisbon-7.jpg (25676 バイト)

lisbon-2.jpg (24084 バイト) 何にでも言えることですが、現代の製品はコスト抑制と生産性向上のために古典的な技法を切り捨て、より合理的な物作りが行われるようになり、職人技も失われてきました。
しかし、全てがコンピュータとロボットによって組み上げられた”工業製品”は、昔ながらの伝統的な手法と、研ぎ澄まされた職人の技術により作られた”芸術品”にはとうていかないません。アンティークを趣向する人は、こんなところに魅力を感じるのでしょう。
私はアンティーク・コレクターではありませんが、やっぱり昔の時計に現行品には無い魅力を感じます。まぁ実際には”アンティーク風”ということで、デザインがクラシカルなものや復刻版でもOKですが、それでも昔の手のかかった機械が入っている方が嬉しいわけです。
そんなところがジャッケ・エトアールを好きになった理由でしょうかねぇ。。。

【ジャッケ・エトアール リスボンミディアム マキシムス】

●手巻(17石) ●キャリバー・ユニタス6376搭載 ●ブルースチールハンズ ●コートドジュネーブ仕上げブリッジ ●SSケース ●シースルーバック ●ミシシッピーアリゲータストラップ ●日常生活防水 ●世界限定60本 ●シリアルナンバー”8”

戻る

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送